オーストラリアの基礎知識

オーストラリアのたばこ事情


オーストラリアは世界で最も喫煙率が低い国として有名です。 その理由のひとつにオーストラリア連邦政府が今年の5月に発表した新年度予算案のたばこ税の増税額を来年の2017年から4年間、毎年12.5%の増税を実施しようというものです。

現在でも1箱25ドルだから、ざっと計算すると、2017年には28ドル、2018年に31ドル、なんと4年後の2020年には40ドルになります。 日本円に換算($1=¥80)すると3000円を超える勘定になります。

物価高のオーストラリアとはいえ、たったひと箱のたばこに40ドルを払う人が果たしているのでしょうか。政府の発表によれば喫煙人口はオーストラリアの総人口の17%ほどだそうで、ひと箱40ドルになればさらにこの数字は下がるでしょうね。

数年前日本のJTと大手たばこ会社が結束し、オーストラリアのたばこ広告を禁止する法律は違憲と控訴しました。 結果的に最高裁に棄却されました。たばこ会社のロゴも禁止、パッケージの4分の3のスペースに警告画像が入れなければならなくなり、その徹底ぶりがあまりにストイックで話題になりました。

メディケア税の負担削減と国民の健康増進を目的とした増税と言われていますが、最近では職場や公共の場所での禁煙はかなり定着してきており、ますます愛煙家にはつらい状況となります。

今回のたばこ増税とパッケージ規制は喫煙への抑止力となり、各国がオーストラリアの動向に興味を示しています。 その余波はニュージーランド、カナダ、イギリスなどへ影響を与えて行くでしょう。

どこの国も医療費が財政を圧迫し、ジェネリック薬を薦めてくる時代に、肺がん罹患者も増加している中、オーストラリアの抜本的増税は英断となるや否や、いずれ歴史が証明する事になるでしょう。